2016年7月16日土曜日

スライドバーで演奏する弦楽器

指板に弦を押し付けるのではなく、弦に棒を押し当てて(接触させて)弦が振動する長さを変えていく。この棒はスライドバーと呼ばれている。ただし 棒ではなく玉だったりもする。また、当初ガラスビンの首の部分を切り取って使ったことにより「ボトルネック」などとも呼ばれる。そして、この演奏方法を「スライド奏法」とか「ボトルネック奏法」と呼ぶ。実際にビンの首を使うことはそんなにないだろうけどね。
スライドバーは、弦の振動に負けないように金属やガラスなど少々重いもののほうがよさそうだ。指にはめたり、手でにぎったりして使う。

振動させる弦長を自由に変えられるので、なめらかに音程を変えるグリッサンドや、大胆なビブラートも可能。単音だけではなく複数の音、つまり和音(コード)全体にグリッサンドやビブラートがかけられる。

一般的なギターでもスライド奏法は可能であるが、指板と弦の隙間を高くした専用の楽器のほうが扱いやすい。扱いやすいとはいっても演奏技術は安易ではない。他人に聴かせるまでになるには、ちょっとやそっとの練習では無理。根性をこめて修練に励まなければならない。
演奏方法も出てくる音もアナログ的であるため、単に技術的な腕前だけでなく、感性とか表現力とか、そんなアーティスト、アーティストした部分が磨かれている必要があるようだ。

スチール・ギター
スチールギター steel guitar
スチール・ギター steel guitar
 スライド奏法では、音が小さいという難点があるが、まあ、電気的に増幅してやれば、いくらでも音は大きくなる。スチール・ギターは、アンプで増幅できる技術が一般になったためスライド奏法の楽器として広く普及したのだろう。
ギターの名を持つものの、これはいわゆるギターではない、弦は6本以上あるのが普通で、ペダルスチール・ギターは 足元のペダルで弦の張り強さを演奏中にでも変えることができる機構が備わっている。

リゾネーター・ギター
リゾネーター・ギター resonator guitar
リゾネーター・ギター resonator guitar
 リゾネーター・ギターは、音を大きくするために、金属の音響板を組み込んだギター。ボディ全体を金属で作り上げたものもある。
スライド・バー奏法だけに特化するのであれば、ネックを握って演奏するわけではないので、ギターの形をしている必要はないのだけれども、スライド・バーでの演奏はギター(もしくはギターみたいな楽器)から生まれたのだろうから、その形を踏襲しているわけだろうね。

インドにもスライド奏法の楽器
インドのビチトラ・ヴィーナ vichitra veena
ビチトラ・ヴィーナ vichitra veena

インドのモハン・ヴィーナ mohan veena
モハン・ヴィーナ mohan veena
ビチトラ・ヴィーナ
インドの楽器。数あるビーナの中で、スライド奏法専用が、このビチトラ・ヴィーナ。スライドさせる道具は棒ではなくて玉だ。

モハン・ヴィーナ
インドにはモハン・ヴィーナという楽器もある。ヴィーナという名がついているのだけれども伝統的なものではなく比較的新しく作られた楽器。リゾネーター・ギターにヒントを得たのだろうね。見た目はギターの形をしているが、メロディ弦の他に共鳴弦がいっぱい張り巡らされているのはインドらしいところ。

八雲琴
八雲琴 やくもごと
八雲琴 やくもごと
あまり知られていないのだけれども、日本にもスライドバーの弦楽器がある。特別な神事に使われるようで、日本全土に普及しているわけではない。
ハープ属の形

ハープ属の形をよくよく見ると、基本的に「L字形」をしていて、演奏する姿勢によって方向が変わっていることがわかる。
右の図は同じイラストをコピーして右へ左へクルクル回したものだ。

箜篌
箜篌は音響ボディを抱えて弾く。弦は音響ボディから下方向に向かって張られる。

サウン・ガウ
例えばサウンガウは、音響ボディが底面にある。保管する場合には安定した形だね。比較的小さなハープにこの形が多い。アフリカのハープにも、この形があったりするね。

西洋のハープ
グランドハープやイタリア、スペインなどでアルパと呼ばれている西洋のハープは音響ボディを抱えて弾くが、箜篌と比べると上下が逆だ。弦は音響ボディから上方向に向かって張られる。逆三角形で重心が高いので倒れなかちょっと不安。

現在のいわゆるハープにはもう一本支柱が存在する(右のイラストには描いてないけど)。弦を強く張るほうがいい音がでるので、だんだんと強い弦が開発され、その張力に楽器本体が耐えられるようにしたんだろうね。